今回は具体的に絵がうまくなる方法について考えたいと思います。
実際の教室では、本人の希望や性格に応じて提案をさせていただきますが、今回は、一例として考察させていただきました。
入口としてのおすすめは模写
まずは、自分にとって上手な絵は何かを明確にすることが必要です。
写実的なものなのか、漫画的なものなのか、イラスト的なものなのか、
ネットで検索しながら上手な絵を見つけましょう。
はじめはプリントしたものを模写してもいいでしょう。模写をするときは、できるだけ忠実に模写をしていくことでたくさんの気づきを手に入れることができます。定規など使ってもよいので、とにかく正確に再現していきます。(模写があまり楽しくない場合は、一枚程度で次に進んで良いかと思います。)
模写がうまくなることで再現の技術は上がりますが、
実際に自分で描くとうまく描けないという問題が起こります。
写真をそのまま描くといった場合などは、そのまま進めて行けば近づいて行くと思います。模写は作家が作品にしたものを写すので、創作という視点でみると模写で得る能力には限界があります。
「まだ満足できないぞ」という場合、模写で得たものを活用して次に向かいます。
得たものはこのようなものでしょうか
・平面を平面に移す技術
・自分の中の表現の領域が増える
・自分の描きたい方向性
・平面を平面に移す技術
写真を写したり、平面を平面に写す技術があがります。
・自分の中の表現の領域が増える
作品を模写するなかで、「こういう風に描くんだ」など作者の視点や表現域の知ることで、
自分の中に新しい表現域をふやします。
表現域とは、例えば「青の中にもいろんな青がある」「髪の毛や瞳のかき方はこんな方法もあるんだ」、と知ることで、「絵の具の色で変化する領域があるんだ」、「瞳の描き方で絵に変化を出せるんだ」ということを知るという感じです。
瞳の描き方を覚えて真似をするということも学びですが、もう一歩「瞳の描き方で絵の表情が変わるんだ」
という絵に変化を与える領域の存在を知ることも重要です。その視点で別の作品を見たり、自分だったらこう描いてみようかといったアレンジにつながります。
・自分の描きたい方向性
「上手くなりたい」の上手いがしめす方向性が前より明確になります。具体的になった分、その方向に向けて技術を伸ばしていくことができます。「リアルな画風のデッサン」「マンガ絵」「アニメ絵」「おしゃれなイラスト」見つけた方向性に向かって必要なスキルを向上していきます。
まとめ
今回は上手な絵を描くにあたって、自分にとっての上手な絵は何かを見つける。模写を通じて、その世界の表現域と写す技能を高める。作者の視点を感じて、自分の創作へとつないでいく。
といった内容になりました。
絵の表現は多様化していて、必要な技術や基礎も状況によって変化するように感じます。
「絵の基本はこれだ」と言えればよいのですが、そう言える状況ではなくなっています。
とは言え、多様な表現のそれぞれの技術を習得するには時間がかかりすぎます。自分の興味に合わせてひとまずの方向を決め、それに必要な技術や知識を深めていく、そんなアプローチはいかがでしょうか。